水力発電

比速度とキャビテーション

比速度

水車の比速度とは、任意の水車の形状と運転状態とを相似に保って大きさを変え、

単位落差(1m)で単位出力(1kW)を発生させる仮想水車の回転速度のことをいう。

水車 比速度の公式

\(\color{red}{n_s=n_0\frac{P^{\frac{1}{2}}}{H^{\frac{5}{4}}}}\)

\(n_S: 水車の比速度[m・kW]\)

\(P: 水車の出力[kW]\)

\(H: 有効落差[m]\)

\(n_o: 定格回転速度[min^{-1}]\)

水車出力Pはペルトン水車ではノズル1個あたり、反動水車ではランナ1個あたりの出力とする

ポンプ水車 比速度の公式

\(\color{red}{n_s=n_0\frac{Q^{\frac{1}{2}}}{H^{\frac{3}{4}}}}\)

\(n_S: 水車の比速度[m・kW]\)

\(Q: 揚水量[m^3/s]\)

\(H: 全揚程[m]\)

\(n_o: 定格回転速度[min^{-1}]\)

ポンプ水車の比速度は水車出力Pの代わりに揚水量Qを用いる

出力一定で、回転速度を大きくすると、電気装荷、磁気装荷を小さくでき機器を小型化することができる

しかし一方で、回転速度を上げると、水車の流水接触面の流速が大きくなり、キャビテーションが発生しやすくなる

水車形状と比速度

水車形状と比速度の関係は上表で表される。

形状比速度   適用落差 
ペルトン
フランシス
斜流水車
軸流水車(プロペラ)
水車形状と比速度

キャビテーション

水圧管内である点の圧力が水の飽和蒸気圧より低くなると水圧管の中で水が蒸発して水蒸気になり、流水中に微細な気泡が発生する。

これをキャビテーションという。

キャビテーションで発生した気泡が圧力の高いところに来ると気泡が潰れ大きな衝撃圧が発生する。

この気泡はプロペラなどの硬いものにこびりつきやすいという性質を持ち、気泡が壊れた際の衝撃により羽根が損傷(壊食)したり、騒音が発生する。

キャビテーション壊食が生じやすい場所

ペルトン水車:バケット、ニードル弁
フランシス水車:ランナベーン出口裏側
軸流水車(プロペラ水車):ランナベーン外周の先端の裏側

キャビテーションの影響

①流水の接するランナやバケットなどの金属部分に壊食を生じる

②水車の効率が生じる

③吸い出し管の水圧変動が著しくなる

④水車が振動したり、騒音が発生する

防止対策

①水車の比速度が高いほど圧損が増加し、キャビテーションが発生しやすいため、水車およびポンプの比速度を過大にしない

②吸い出し管の高さを低くする

③キャビテーションが発生しやすい部分は侵食に強い材質(ステンレス系)を使用する

④圧損を少なくするため、ランナベーンの表面を平滑になるような形状にする

⑤過度の部分負荷、過負荷運転を避ける



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もち

メーカーで電気主任技術者やってます。1993年生まれ。保有資格:第三種電気主任技術者、第二種電気主任技術者、エネルギー管理士、ガス主任技術者(甲種)、第二種電気工事士 お問い合わせは↓より

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