
💡第二種電気主任技術者試験(以下:電験二種)について私が行った勉強方法についてご紹介します。
私は電験三種の合格が分かってから電験二種の勉強を始めました。おそらく11月頃だったと思います。そこから約1年間勉強し、独学で、一発合格する事ができました。
電験二種の一発合格は可能です。
とはいえ、当初私は1年目に法規以外合格、そこからさらに一年間二次試験の勉強をして、翌年合格という計画でした。当然最初の一年は二次試験の勉強なんかしてません。
そしたらギリギリ一次試験に合格してしまい、そこから二次試験までの2ヶ月間しに物狂いで勉強し、合格することができました。2ヶ月で電験二種二次試験を攻略できるということも証明出来ました。
とはいえ、かなりリスキーです。オススメはしません。勉強時間を確保できなければ、二次試験を受ける権利を一年無駄にすることになりますから。あと自分は二次試験までの二ヶ月間、寿命削るくらい勉強したと思うのでやはり計画的な勉強が必要です。私の経験をもとに電験二種を合格するための勉強方法をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
電験二種という試験を知る(電験二種とは)

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とは言ったもので、まずは敵(試験)を知ることが大事です。
問題形式、傾向を知り、正しい勉強方法で学習することが、合格への近道になります。
電験二種一次試験を知る
💡電験二種一次試験は電験三種同様に、選択問題となっていますが、問題形式は異なります。
電験三種はそれぞれ独立した設問に対し5択の解答の選択肢があるのに対し、
電験二種一次試験は、一つの大問の中に穴(解答箇所)が5箇所あり、回答群(20個くらい)から選ぶという選択解答方式になっています。
候補が多くなって難しくなったように思えますが、実際、解答に使えそうなものを絞り込むと大体3択になるため、電験三種よりは「感で当たりやすい」試験になっています。
電験二種の合格率
年度 | 合格率(%) | 科目合格率(%) |
---|---|---|
2018 | 24.1 | 46.6 |
2019 | 23.6 | 49.0 |
2020 | 27.2 | 48.9 |
電験三種の合格率が毎年10%を切っていますから、比較すると合格率は高いと言えます。
科目合格率も約50%となっています。
電験二種一次試験の科目別合格率
年度 | 理論(%) | 電力(%) | 機械(%) | 法規(%) |
---|---|---|---|---|
2018 | 18.3 | 38.0 | 23.0 | 30.5 |
2019 | 17.1 | 30.1 | 43..1 | 31.5 |
2020 | 19.6 | 41.9 | 29.8 | 29.1 |
合格率の前後はありますが、大体こんなもんです。
見てわかるように理論科目だけ合格率が低いです。
理由としては理論以外はほぼ文章問題であるのに対し、理論は全問計算問題になっています。
さらに、電験三種では使用しなかった微分・積分、行列、ラプラス展開などの数学力も必要になります。
電力と機械は二次試験が本番です。内容は電験三種に毛が生えたようなものです。
以上のことから、電験二種の理論科目とそれ以外の科目では別に対策をとる必要があります。
電験二種一次試験特徴
・理論は計算、その他は文章問題(電力や機械も)・電力、機械、法規は電験三種に毛が生えた程度のレベル・理論科目は微積、行列、ラプラス展開などの数学的知識が必要
・理論科目が難関となっており、十分に対策する必要がある
電験二種二次試験を知る
💡最難関の二次試験です。
一次試験に合格しても二次試験に受からず、スパイラーになってしまう人も多いです。
また、一次試験で科目合格した場合、先二年は科目免除となるのに対し、一次試験に合格しても翌年しか免除になりません。
つまり一次試験に合格してから二次試験を受けれるチャンスはたった二回にしかありません。一度のチャンスも無駄にできないため、しっかり対策する必要があります。
電験二種二次試験の合格率
年度 | 合格率(%) |
---|---|
2016 | 19.4 |
2017 | 13.5 |
2018 | 14.5 |
2019 | 22.8 |
2020 | 27.9 |
これまで合格率は大体15%から20%ですが、近年は少し易化傾向にあります。
政府が本格的に脱炭素化に向けて動き出しているため、電気主任技術者の増員を図っているのでしょうか。
これから受験する方にとってはチャンスかもしれません。
試験内容は以下になります
試験内容
【電力・管理】:大問6つの内、4問を選択して解答(論述3問 計算3問 年によって多少違いあり)
【機械・制御】:大問4つの内、2問を選択して解答(計算4問 たまに論述もあり)
合格点は「各科目6割以上+平均点以上」となっています。
【電力・管理】
電力管理では、範囲がほぼ無限と言えるほどの論述問題と難問だらけの計算問題に対応する必要があります。
論述問題は採点基準が分かりづらく、過去に出題された問題以外は完答は難しいです。
一方、計算問題は答えが導き出せれば満点をもらえる可能性がありますが、途中で計算ミスしていると全く点数がもらえないというリスクがあります。
どちらか一方に力を入れるのではなく、論述・計算両方に力を入れる必要があります。
【機械・制御】
機械制御は4問出題されますが、傾向がはっきりしています。
問1.問2. 直流機、誘導機、同期機、変圧器
問3. パワエレ
問4. 自動制御
特に自動制御の問題は毎年似たような問題が出題されているため、点数が取りやすいです。
あとは問1または問2で半分くらい解答できれば合格点を取れます。
パワエレは問題の種類が多く、計算も複雑な為、得意な人以外はオススメしません。
第二種二次試験特徴
・電力管理と機械制御の2科目、それぞれ6割以上+平均点以上を取る必要がある
・電力管理は大問6つから4つを解答
・機械制御は大問4つから2つを解答
・問題の傾向を知った上で対策する
電験二種独学勉強方法

ここから第二種電気主任技術者試験の私が実際にした勉強方法についてお伝えします。
私自身が電験三種合格してからすぐに電験二種の勉強を始めたので、
あくまで電験三種合格済みの方向けです。
電験二種のおすすめテキストについては以下の記事も参考にしてください。
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一次試験
理論科目

最難関科目の理論です。
電験三種と異なり、それなりの数学力が必要になります。
具体的には「微分・積分・ラプラス変換」です。
この辺の数学力に関しては理系卒かそうでないかで大きく対策が変わると思います。
理系卒の人の対策
電験二種を受験する人の多くが電気科などの工学系、またはその他の理系卒の方が多いと思います。私自身も一応大学の工学部卒です。
私はこの理論科目を勉強するにあたり数学の参考書をいくつか買いましたが、正直、試験の合格を目指すだけであれば数学だけの参考書は不要だと思っています。
微分・積分
「微分・積分」に関しては私はほとんど忘れていましたが、問題をとけばそれなりに思い出せます。
私は学生の時に使った参考書を引っ張り出してきて、少し復習しました。
新しく参考書を買う必要は無いと思います。よく分からないところは調べれば大体のことは解決するので。
ラプラス変換
「ラプラス変換」に関しては初見でした。ただ試験で出題される問題はある程度パターン化しているので、一からラプラス変換について学ぶ必要は不要です。過去問をたくさん解いて、その解説でラプラス変換を学ぶという形で十分だと思います。
文系卒または数学を勉強してからかなり時間が経っている方
こちらが対象になる方も電験三種を合格しているということであれば、ある程度の計算力はあると思います。
それでも微分・積分はちょっと...という方も多いはず。
そういう方は数学の本を一冊買ってから理論の勉強に入っても決して遠回りではないと思います。
私も微分積分はすっかり忘れていたので一冊買って勉強しました。
「いちばんよくわかる電験2種数学入門帖」です。
第二種電気主任技術者試験で必要な数学だけを抜粋してまとめられています。
試験に合格するための数学力としてはこの一冊で十分といえます。
理論科目の関門とえるラプラス変換も体系的に学べるためおすすめできる一冊です。
理論科目の勉強法
「理論は難関」とこれまで言ってきましたが、とはいえ大きく変わるのはラプラス変換が必要になる「過度現象」の単元くらいです。それ以外は電験三種の出題範囲を深掘りしたような内容になります。
基本的には電験三種と同様に参考書と過去問を使って勉強していきます。
しかし、さすがの電験二種、参考書が専門書レベルです。
詳しく書きすぎたり、詳細に書きすぎたりしている部分も多く、正直合格を目指す程度であれば内容は半分でいいと思いました。そのため、必要なところ、不要なところを見極めながら学習する必要があります。
メインは過去問を使用していきましょう。
電験三種より出題傾向がはっきりしています。
過去問を解きながら、分からないところを参考書で深掘りしいくといいです。
それからポイントは「過度現象」の単元です。
ラプラス変換が必要になるため避けがちですが、問題は3〜4パターンくらいしかない為
実は得点が取れる問題なんです。
自分は結局ラプラス変換が何かよく分かりませんでしたが、過去問の解説をよく理解してパターンを覚えるだけで対応することができます。
ポイント
・メインは過去問、解説もしっかり読み込む。プラスで参考書を使う。
・過度現象は一見難しく見えるが、実は点数が稼げるポイント
・微分、積分、ラプラス変換を完璧にマスターする必要ない、あくまで試験で必要なレベルを学べば良い
電力科目

出題のポイント
ほぼ全て文章の穴埋め問題になります。
冒頭で述べたように電験二種一次試験は、20個くらいの回答群から回答を選択する方式ですが、文章問題の場合、実際には三択くらいになるので、電験三種よりも難易度は低いかもしれません。
難しい計算問題もほとんど出題されません。
実際合格率も40%前後と高く、必ず合格しておきたい科目です。
電力の勉強法
ほぼ文章問題となるため、電験三種で勉強した内容をしっかり原理と結びつけて理解する必要があります。
一次試験の電力合格だけを目指すのであれば、参考書一冊をたまに読むくらいで突破できますが、二次試験の論述試験を念頭において勉強することをおすすめします。
一次試験では「選択できるか」二次試験では「書けるか」になるので二次試験の論述対策をすることは一次試験の対策の必要十分と言えます。
電力科目では過去問よりも、参考書をとにかく読み込んで、二次試験に繋げられるようにしましょう。
ポイント
・出題はほぼ文章問題なので参考書をよく読み込む
・過去問よりも参考書メインで勉強する
・二次試験の論述対策も兼ねて行う、二次試験論述用のテキストでも勉強する
機械科目

出題のポイント
こちらも文章の穴埋め問題が多めです。
やはり本番は二次試験といった感じです。
電験三種と比較しても発展した内容は少ないと思います。
ただし、直流機、誘導機、変圧器は多少計算が必要な問題も出てきます。
機械の勉強方法
誘導機、同期機、変圧器は二次試験において重要な単元になります。
この一次試験でもかなり深掘りした内容がでますが、参考書と過去問でしっかり解ける力を身につけましょう。
一次試験機械では、この誘導機、同期機、変圧器に力を入れてください。
その他の単元については参考書をよく読んでおけば十分に得点できると思います。
ただしパワーエレクトロニクスは微分積分の考え方が必要になり、電験三種より一層難易度が高くなっています。パワエレの問題はパターンが多くい為対策がしづらく、複雑であることから、私は諦めてこの単元にあまり時間をかけませんでした。特に二次試験のパワエレの問題はさらに難易度が上がるため、はなから二次試験でパワエレを選択するつもりが無い方は、一次試験でパワエレについて勉強しすぎるのは時間ロスになります。
私と同じようにこの単元を苦手とする方は頻出である過度現象と高昇圧チョッパについて理解しておくだけで十分です。
ポイント
・ほぼ文章の穴埋めだが、若干計算が必要な問題もある。
・誘導機、同期機、変圧器に力を入れる。他は三種と大差なし。
・パワエレ苦手な方は二次試験も見越して切り捨てるのもアリ。
法規科目

出題のポイント
全て文章の穴埋めです。(ごく稀に計算もあり)
電験三種と比較すると特別高圧の問題が多く出題されます。ここの対策が必要です。
ただし、三種で出題されたような計算問題は無いため、暗記力が試されます。
法規の勉強方法
こればかりはひたすら暗記になります。
出題範囲はあって無いようなもので幅広く覚えておく必要があります。
自分は過去問15年分を解いて、穴埋めの前後の文章も合わせて覚えました。
それでも結果はギリギリ合格でした。
正直なんの話か全く分からない問題もありました。
コツとしては文章を呪文のように覚えるのではなく、しっかり意味を理解した上で覚えるということです。
意味を理解しておけば、過去に穴埋めで出た箇所の前後が次に穴埋めになっていたとしても解答することができます。
それから法規に関しては、文章の流れから選択肢を選ぶ能力が大きな武器になります。
◯◯V以上といったような数字を答える問題以外は、全くその記述を見たことがなくても文章の流れを見て解答を選択することが十分可能です。その為、より多くの過去問を解くことが重要になります。
ポイント
・問題は全て文章の穴埋め、ひたすら暗記するのみ!
・電験三種と比較すると特別高圧の問題が多く出題されるのが特徴
・文章の流れから選択肢を当てはめる力が重要、たくさん過去問を解いて練習する。
二次試験
電力・管理

6問の内4問を選択し、解答します。
電力・管理は問題の傾向が掴みづらく、後述の機械・制御よりも難関だと思います。
電験二種二次試験はこの科目を攻略できるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。
6問のうち論述問題と計算問題は3:3または4:2の割合で出題されます。
論述問題と計算問題のどちらに重点を置いて勉強するのが正か、これは電気技術者試験センターが採点基準を公表していないためなんとも言えないです。
論述問題は加点方式と言われており、出題範囲は広いですが何か知っていることがあれば、点数をもらうことができます。
一方計算問題は減点方式と言われており、過去問で十分に対策をしておけば似たような問題が出ることがありますが、計算は複雑なため、計算ミスする可能性があります。序盤でのミスは命取りなので計算するというのはそれなりのリスクがあります。
以上より、当たり前ですが、両方とも十分に対策しておき確実に解答できる問題を増やすことが重要です。
ちなみに私は計算問題を解くと疲れてしまうので論述の方がよく勉強していました。
論述問題
出題範囲はほぼ無限です。毎年一問は「こんなの誰が知ってるの?」というようなマニアックすぎる問題も出題されています。
当然、全てを完璧に対策することは不可能なので、とにかく過去問とその解説を読み込み対策します。
計算問題も同様ですが、二次試験では10〜20年前くらいの問題が出題される傾向にあります。
直近の過去問も読み込みますが、できるだけ10年以上前の問題を見ておくようにしてください。
昔の過去問は手に入りづらいですが、もし見つけたら手に入れておきたいところです。
計算問題
計算問題は非常にレベルが高いです。
私自身かなり勉強しましたが、最後までよく分からない問題も多くありました。
電力・管理の計算問題は単元によって難易度にばらつきがあります。
中でも地絡故障計算はよく出題されますが、かなり難易度が高いです。全問解答する必要な無いため、この単元は個人的にあむやみに手を出さない方がいいと思います。
一方、水力、火力は三種レベルの計算問題が多いです。この2つは毎年どちらか計算問題か論述問題で出題されているので完璧にしておきたいところです。
ポイント
・6問のうち論述問題と計算問題は3:3または4:2の割合で出題される。
・10年〜20年前の問題が出題される傾向あり。
・論述対策は過去問、参考書で幅広く対策する。
・計算問題は水力,火力分野を完璧にしておく。
機械・制御

機械制御は出題傾向がはっきりしています。
たまに論述問題が出る年がありますが、ほぼ全て計算問題が出題されます。
わざわざ機械制御の論述問題対策をする価値はあまりありません。
出題の傾向は以下になります。
問1.問2. 直流機、誘導機、同期機、変圧器
問3. パワーエレクトロニクス
問4. 自動制御
上記の4問から2問を選択して解答します。簡単に聞こえますね。
実際、傾向が掴めることから点数が取りやすいです。
しかし、計算ミスした途端、それ以降全て×になりうる可能性あるのが記述試験なのでしっかりと完答できる力が必要です。
とにかく過去問を何回も解いて記述問題に慣れましょう。
問1.問2. 直流機、誘導機、同期機、変圧器
幅広く過去問を解き、2問の内1問は選択して8割は解答したいところ。
過去問の類似問題も出題される傾向にあるため、とにかく過去問を多く解くことが重要です。
問3. パワーエレクトロニクス
二次試験のパワエレは非常に難易度が高いです。
簡単な問題もあったりしますが、とにかく出題パターンが多様で対策が難しいため、多くの人がスルーする単元です。
実際私もパワエレ選択しないつもりで勉強は全くしませんでした。
パワエレはとにかく積分を使う問題が多く出題されます。
計算ミスが命取りとなる二次試験で複雑な数学式と解くことはリスキーだと思います。
パワエレに精通していることが人以外は選択することをおすすめしません。
問4. 自動制御
自動制御の問題は点の取り所です。必ず完答したい問題です。
初めはなんだこれ??と思うかもしれませんが、例年似たような問題が出ています。
年によっては数字だけ変わっているだけの問題もあるため、過去問を完璧に解けるようにしておけば、十分完答が狙えます。
ただし、計算は非常に複雑で、同じ記号が何回も繰り返し出てきます。
回答用紙には正確にかつ素早く解答を記入する必要があるため、日頃からしっかりと書く練習をしておくことが重要です。
ポイント
・全問計算問題の確率高、出題傾向がある為とにかく過去問で学習する
・パワエレは難易度高、精通してる人以外は避けるべき
・自動制御は点の取り所、必ず完答する
・日頃から解答を「書く」練習をする
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
電験三種同様に大事なのは継続力です。隙間時間を見つけて参考書を流し読みするだけでも習得度が全然違います。電験二種は難関資格です。気長に付き合おうという方もいると思いますが、要点を抑えれば一発合格は可能です。
質問があれば連絡してください。
以上