【2015年】平成27年度試験 電力

問.1 難易度★★☆

解答

答(5)

P=ρgQHの単位は、ρ、g、Q、Hの単位の積であるから、\(kg/m^3・m/s^2・m^3/s・m\)となる

これを変形すると、\(\color{red}{kg・m/s^2}\)・\(m/s\)となるが、\(\color{red}{kg・m/s^2}\)は力の単位Nと等しい

すなわちP=ρgQHの単位はN・m/sとなる。ここで、N・mは仕事(エネルギー)の単位であるJと等しいことから

P=ρgQHの単位はJ/sと表せ、これは仕事率(動力)の単位であるWと等しい。

ゆえに理論水力P=ρgQHの単位はWとなるが、重力加速度\(g=9.8m/s^2\)と水の密度\(1000kg/m^3\)の数値9.8と1000を

考慮するとP=9.8QH[kW]と表される。

問.2 難易度★★☆

解答

答(4)

再熱サイクルは高圧タービンから出た飽和蒸気をボイラの再熱器で加熱する熱サイクル

問.3 難易度★★☆

解答

答(4)

発電機の定格出力を\(P_G,所内電力をP_L\)とすると、所内率\(L\)は

\(L=\frac{P_L}{P_G}\)

この汽力発電所が30日間連続運転した時の送電端電力\(W_S\)と発電電力量\(W_G\)は

\(W_S=W_G(1-L)\)

\(W_G=\frac{W_S}{1-L}\)

重油の使用量を\(B[kg]\)、重油の発熱量を\(H[kJ/kg]\)とすると、発電端熱効率\(η_P\)は

\(η_P=\frac{3600\frac{W_S}{1-L}}{BH}\)

ボイラ効率を\(η_B\)、タービン室効率を\(η_T\)、発電機効率を\(η_g\)とすると、発電端熱効率\(η_P\)は

\(η_P=η_Bη_Tη_g\)

よってボイラ効率\(η_B\)は

\(η_B=\frac{η_P}{η_Tη_g}\)

 \(=\frac{3600(\frac{W_S}{1-L})}{BHη_Tη_g}\)

 \(=\frac{3600×(\frac{5000×10^3}{1-0.05})}{1100×10^3×44000×0.47×0.98}\)

 \(\color{red}{≒0.85=85[%]}\)

問.4 難易度★★☆

解答

答(1)

原子力発電で多く採用されている原子炉の型式は軽水炉であり、主に加圧水型と沸騰水型に分けられるが、いずれも

冷却剤と減速材に軽水を使用している。

加圧水型は、原子炉内で加熱された冷却材の沸騰を加圧機により防ぐとともに、一次冷却材ポンプで原子炉、

蒸気発生器で熱交換を行い、タービンに送る二次系の蒸気を発生させる。

沸騰水型は、原子炉内で冷却材を加熱し、発生した蒸気を直接タービンに送るため、系統が単純になる。

それぞれに特有な設備には、加圧水型では、加圧器蒸気発生器、一次冷却材ポンプがあり、沸騰水型では再循環ポンプがある。

問.5 難易度★★☆

解答

答(1)

分散型電源からの逆潮流による系統電圧の上昇を抑制するために、

受電点の力率は系統側から見て100%に近い力率か、若干遅れ力率で運転することが望ましい。

問.6 難易度★☆☆

解答

答(5)

高圧需要家に構内事故が発生した場合、構内事故発生箇所の遮断を可及的速やかに、かつ最小限に行い、

事故箇所以外の電路への事故波及を防止し、事故範囲の局限化を図る

問.7 難易度★☆☆

解答

答(1)

避雷器とは、大地に電流を流すことで雷又は回路の開閉などに起因する過電圧を抑制して、

電気施設の絶縁を保護し、かつ、続流を短時間のうちに遮断して、系統の正常な状態を乱すことなく、原状に復帰する機能を持つ装置である。

避雷器には、炭化ケイ素素子や酸化亜鉛素子などを用いられるが、性能面で勝る酸化亜鉛素子を用いた酸化亜鉛形避雷器が、現在、

電力設備や電気設備で広く用いられている。

なお、初変電所用避雷器では、酸化亜鉛形ギャップレス避雷器が主に使用されているが、配電用避雷器では、酸化亜鉛形直列ギャップ付き避雷器が多く使用されている。

電力系統には、変圧器をはじめ多くの機器が接続されている。これらの危機を異常時に保護するための絶縁強度の設計は、

最も経済的かつ合理的に行うとともに、系統全体の信頼度を向上できるように考慮する必要がある。

これを絶縁協調という。

問.8 難易度★☆☆

解答

答(5)

多導体の架空送電線において、風速が数〜20m/sで発生し、10m/sを超えると振動が激しくなることをサブスパン振動という。

また、架空電線が、電線と直角方向に穏やかで一様な空気の流れを受けると、電線の背後に空気の渦が生じ、電線が上下に振動を起こすことである。

この振動を防止するためにダンパを取り付けて振動エネルギーを吸収させることが効果的である。

この振動によって電線が断線しないようにアーマロッドが用いられている。

その他、架空送電線の振動には、送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けた時に発生するギャロッピングや、

送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象などがある。

問.9 難易度★★☆

解答

答(3)

多導体方式は塩害対策とは無関係。

問.10 難易度★★☆

解答

 答(3)

等価回路とベクトル図は下記の通り。



3線合計の誘電損\(W\)は

\(W=3EI_R\)

ベクトル図より

\(W=\sqrt{3}VI_Ctanδ\)・・・①

ここで、\(I_C\)は、

\(I_C=ωClE=2πfCl\frac{V}{\sqrt{3}}\)・・・②

①に②を代入して、

\(W=2πfClV^2tanΔ\)

 \(=2π×50×0.43×10^{-6}×5×(66×10^3)^2×0.03×10^{-2}\)

 \(\color{red}{=882.7[W]}\)

問.11 難易度★☆☆

解答

答(1)

地中配電線路は、架空配電線路と比較して、都市の景観がよくなる。

台風等の自然災害発生時において他物接触による事故が少ない等の利点がある。

一方で、架空配電線路と比較して、地中配電線路は高額の建設費用を必要とするほか、

掘削工事を要することから需要増加に対する設備増強が容易ではなく、またケーブルの対地静電容量による

フェランチ効果の影響が大きい等の欠点がある。

問.12 難易度★★☆

解答

答 (5)

スポットネットワーク方式において、ネットワーク母線で故障が発生すると受電できなくなる。

問.13 難易度★★

解答

答(2)

三相3線式と単相2線式の導体1線の断面積を\(S_3,S_2\)とすると、

こう長と導体量は等しいから、

\(\frac{S_3}{S_2}=\frac{2}{3}\)

また、題意より許容電流は導体の断面積に比例するので、三相3線式と単相2線式の許容電流\(I_3,I_2\)の関係は以下の通り。

\(\frac{I_3}{I_2}=\frac{S_3}{S_2}=\frac{2}{3}\)

以上より、三相3線式と単相2線式の最大送電電力\(P_3,P_2\)の関係は以下の通り。

\(\frac{P_3}{P_2}=\frac{\sqrt{3}VI_3cosθ}{VI_2cosθ}=\frac{2}{\sqrt{3}}\)

 \(\color{red}{=1.15=115[%]}\)

問.14 難易度★★☆

解答

答(2)

鉄心材料は、飽和磁束密度が大きい材料が選ばれる。

問.15 難易度★★☆

解答

答(a)-(2), (b)-(5)

(a)

題意の速度調定率より、

\(0.05=\frac{\frac{f_2-60}{60}}{\frac{1000×0.8-900}{1000}}\)

負荷急変後の系統周波数\(f_2\)について求めると、

\(f_2=0.05×(\frac{1000×0.8-900}{1000})×60+60\)

 \(\color{red}{=59.7[Hz]}\)・・・①

(b)

①と題意の数値を速度調定率の式に代入して、

\(0.03=\frac{\frac{59.7-60}{60}}{\frac{300×0.6-P_{2S}}{300}}\)

\(P_{2S}\)について求めると、

\(P_{2S}=300×0.6-(\frac{59.7-60}{60×0.03}×300)\)

 \(\color{red}{=230[MW]}\)


問.16 難易度★★★

解答

答(a)-(2), (b)-(3)

(a)

各負荷の無効電力\(Q_A,Q_B\)は、

\(Q_A=S_Asinθ_A=3800\sqrt{1-0.9^2}\)

 \(=1656[kvar]\)・・・①

\(Q_B=P_B\frac{sinθ_B}{cosθ_B}=2000\frac{\sqrt{1-0.85^2}}{0.85}\)

 \(=1239[kvar]\)・・・②

①②より無効電力の合計は

\(\color{red}{Q=1656+1239=2895[kvar]}\)


(b)

負荷Bに流れる電流\(I_B\)は

\(I_B=\frac{P_B}{\sqrt{3}Vcosθ}\)

 \(=\frac{2000×10^3}{\sqrt{3}×22000×0.85}\)

 \(=61.75[A]\)・・・①

ここで、a-b間の電圧降下は、

\(v_{ab}=\sqrt{3}I_B(r_{ab}cosθ_B+x_{ab}sinθ_B)\)

 \(=\sqrt{3}×61.75(0.24×800×0.85+0.18×800×0.526)\)

 \(=25.57[V]\)・・・②

よって、点Aの電圧\(V_A\)は、

\(V_A=22000+25=22025[V]\)

負荷Aに流れる電流\(I_A\)は

\(I_A=\frac{S_A}{\sqrt{3}V}\)

 \(=\frac{3800×10^3}{\sqrt{3}×22025}\)

 \(=99.6[A]\)・・・③

①③より、f-a間を流れる電流\(I _{FA}\)は、

\(I_{FA}=61.75+99.6=161.35[A]\)

ここで、f-a間の電圧降下は、

\(v_{fa}=\sqrt{3}I_{FA}(r_{fa}cosθ_A+x_{fa}sinθ_A)\)

 \(=\sqrt{3}×161.35(0.24×400×0.9+0.18×400×0.435)\)

 \(=33[V]\)・・・④

②③より、f-b間の電圧降下は、

\(v_{fb}=25.57+33=58.57[V]\)

 \(\color{red}{≒59[V]}\)



問.17 難易度★★★

解答

答(a)-(2), (b)-(4)

(a)

合成インピーダンスZは

\(Z=\frac{(jX_{AL}-jX{AC})×jX_{BL}}{(jX_{AL}-jX{AC})+jX_{BL}}\)

 \(=\frac{(j0.15-j0.5)×j0.1}{(j0.15-j0.5)+j0.1}\)

 \(\color{red}{=j0.05=j5.0[%]}\)


(b)

百分率インピーダンス%Zは、

\(%Z=\frac{ZP_n}{V_n^2}\)

%Zをオーム値に変換すると、

\(Z=\frac{%ZV_n^2}{P_n}=\frac{0.05×(154×10^3)^2}{10×10^6}\)

 \(=118.58[Ω]\)

よって、送電電力\(P\)は、

\(P=\frac{V_SV_R}{Z}sinδ\)

 \(=\frac{154×10^3×154×10^3}{118.58}sin30°\)

 \(\color{red}{=100[MW]}\)

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