【2018年】平成30年度試験 電力

問.1 難易度★☆☆

解答

(3)

水素ガスは、空気に比べ比熱が大きいため、冷却効率が高く、また、空気に比べ比重が小さいため風損が小さい

水素ガスは、不活性であるため、絶縁物への劣化影響が少ない

水素ガスと空気を混合した場合は、水素ガス濃度が一定範囲内になると爆発の危険性があるので、

これを防ぐため自動的に水素ガス濃度を90%以上に維持している

通常運転中は、発電機内の水素ガスが軸に沿って機外に漏れないように軸受の内側に油膜によるシール機能を備えており、

機内からの水素ガスの漏れを防いでいる

ポイント

・水素は比熱(物体の温度を1度上げるのに必要な熱量)が大きいので冷却効率が高い

・水素は可燃性ガスであり、特定のガス濃度の範囲で爆発する。 

・水素の爆発濃度範囲は一般的に4.0%~75%です。

問.2 難易度★☆☆

解答

(4)

比速度とは、任意の水車の形と運転状態とを相似に保って大きさを変えたとき、

単位落差(1m)で単位出力(1kW)を発生させる仮想水車の回転速度のことである

水車では、ランナの形や特性を表す者としてこの比速度が用いられ、水車の種類ごとに適切な比速度の範囲が存在する

ペルトン水車の比速度は、フランシス水車の比速度より小さい

比速度の大きな水車を大きな落差で使用し、吸出し菅を用いると、放水速度が大きくなってキャビテーションが生じやすくなる。

ポイント

・比速度とは
 →機械を相似形で拡大縮小し、単位落差(1m)のもとで単位出力(1kW)を発生するために必要な回転速度である。

・キャビテーション発生原因
 ポンプ回転速度が上がりすぎる
 ポンプの吸込側の配管抵抗が増加した
 液温が高くなり、蒸発しやすくなった。

問.3 難易度★★☆

解答

(5)×

非常調速装置は、タービンの回転速度が運転中に定格回転速度を超えて一定値以上(定格回転速度の1.11倍以下で動作)に上昇すると

自動的に蒸気止弁を閉じてタービンを停止させる

問.4 難易度★★☆

解答

(2)

原子力発電所においては、原子炉または蒸気発生器によって発生した蒸気が高圧タービンに送られ、

高圧タービンにて所定の仕事を行なった排気は、

湿分分離機に送られ、排気に含まれる湿分を除去した後に低圧タービンに送られる

高圧タービンの入口蒸気は、飽和蒸気であるため、火力発電所の高圧タービンの入口蒸気に比べて、

圧力・温度ともに低く、そのため、原子力発電所の熱効率は、火力発電所と比べて低くなる。

また、原子力発電所の高圧タービンに送られる蒸気量は、同じ出力に対する火力発電所と比べて多い

低圧タービンの最終段翼は、35~54インチの長大な翼を使用し、

湿分による翼の浸食を防ぐため翼先端周速度を減らさなければならないので

タービンの回転速度は1500min^-1または1800min-1としている

ポイント

火力発電所 タービン回転速度 3000[min^-1]

原子力発電所 タービン回転速度 1500または1800[min^-1] 


問.5 難易度★★☆

解答

(4)

風のもつ運動エネルギーPは

\(P=\frac{1}{2}mV^2[J/s]\)

(単位時間あたりの空気の質量;m[kg/s] 風速をV[m/s])

ここで空気の質量mは次式で表される

\(m=ρAV\)

パワー係数をCとおくと

\(P=\frac{1}{2}CρAV^3\)

 \(=\frac{1}{2}×0.5×1.2×π×30^2×10^3\)

 \(\color{red}{≒850[kW]}\)

頻出

風車のロータ軸出力は風速の3乗に比例する

\(P=\frac{1}{2}CρAV^3\)

単位時間あたりの空気の質量;m[kg/s] 
風速:V[m/s] 
パワー係数:C 
風車の回転面積:A

問.6 難易度★★☆

解答

(5)

電力系統において、短絡事故や地絡事故が発生した場合、事故区間は速やかに切り離される。

この時、保護リレーで異常を検出し、遮断機を動作させる。

架空送電線は特に距離が長く、事故発生件数も多い。

架空送電線の事故の多くは落雷による気中フラッシオーバに起因するため、事故区間を高速に遮断し、

フラッシオーバに起因するため、事故区間を高速に遮断し、フラッシオーバを消滅させれば、

絶縁は回復し、架空送電線は通電可能な状態となる・

このため、事故区間の遮断の後、一定時間を経て再閉路が行われる。

一般に主保護の異常に備え、後備保護が用意されており、動作の確実性を期している。

ポイント

低速度再閉路:線路の自動復旧(数秒〜1分程度)

中速度再閉路:線路の自動復旧と高速度再閉路条件不成立時の系統連系維持(数秒〜25秒)

高速度再閉路:系統連系維持(0.4秒〜1.0秒)

問.7 難易度★★☆

解答

(4)×

変圧器巻線の絶縁抵抗測定と誘電正接測定は、絶縁材料の経年劣化を把握することを主な目的として実施される

ポイント

【絶縁抵抗測定】

電路は、他の電路や大地とは高い抵抗で、絶縁されていなければならない。

絶縁抵抗測定は、直流電圧を印加したときに絶縁物に流れる電流により、絶縁性能を測定する。

【誘電正接測定】

誘電正接は絶縁体内部での電気エネルギー損失である。

絶縁物に交流電圧を印加すると、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変わる誘電損が発生する。

この際の電気エネルギー損失の目安として、誘電正接 (充電される電流と損失する電流の比) が用いらる。

誘電正接は絶縁物の形状・寸法に影響されず、絶縁物固有の性質を示す。

問.8 難易度★★☆

解答

(3)

負荷電力Pは次式で求められる

\(P=\sqrt{3}VIcosθ\) (線間電圧:V  線電流:I)

2次側の線間電圧が200Vであるから、巻線比を考慮すると、1次側線間電圧\(V_1\)は

\(V_1=200×\frac{6600}{210}V\)

 \(=6285.7\)

よって負荷電力Pは

\(P=\sqrt{3}×6285.7×20×0.8\)

 \(\color{red}{≒174[kW]}\)

問.9 難易度★☆☆

解答

(4)

送電線において1相に複数の電線のスペーサを用いて適度な間隔に配置したものを多導体と呼び、

主に超高電圧以上の電線に用いられる。

多導体を用いることで、電線表面の電位の傾きが小さくなるので、コロナ開始電圧が高くなり、

送電線のコロナ損失、雑音障害を抑制することができる

多導体は合計断面積が等しい単導体と比較すると、表皮効果が小さい

また、送電線のインダクタンスが減少するため、送電容量が増加し系統安定度の向上につながる

ポイント

【多導体方式のメリット】
送電線の1相に複数本の電線で送電する線路。

①大容量送電が可能(送電容量20~30%増加)

②コロナ開始電圧が高くなるのでコロナが発生しにくくなる

③送電線のインダクタンスが減少する(20~30%減少)


【表皮効果】

導線に交流電流が流れているに電流密度が導体の表面で高く、表面から離れると低くなる現象のこと

問.10 難易度★★☆

解答

(5)

直接設置方式の場合、中性点の接地抵抗が0であるから、

地絡電流が流れても健全相の電位はほとんど上昇しないが大きな地絡電流が流れる

問.11 難易度★★☆

解答

(1)

OFケーブルは、絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルであり、

油通路が設けられている。

ポイント

【OFケーブル特徴】

①絶縁油を油通路に充満させている

②給油設備が必要

③近年は275[kV]以下ではCVケーブルに代わられる傾向にある


問.12 難易度★★☆

解答

(2)

Δ結線の出力は\(3P\)

V結線の出力は\(\sqrt{3}P\)

よって、Δ結線に対するV結線の出力は、\(\frac{1}{\sqrt{3}}\)

問.13 難易度★★☆

解答

(5)

変化前後の線電流\(I_1,,I_2\)は

\(I_1=\frac{P_1}{\sqrt{3}Vcosφ_1}\)

\(I_2=\frac{P_2}{\sqrt{3}Vcosφ_2}\)

線路損失\(P_1,P_2\)は

\(P_1=3I^2r=(\frac{p_1}{Vcosφ_1})^2r\)

\(P_2=3I^2r=(\frac{p_2}{Vcosφ_2})^2r\)

\(P_1=P_2\)であるから

\((\frac{p_1}{Vcosφ_1})^2r\)=\(\frac{p_2}{Vcosφ_2})^2r\)

\(cosφ_2=\frac{P_2}{P_1}cosφ_1=\frac{P_2}{0.8P_2}×0.76\)

 \(\color{red}{=0.95}\)

問.14 難易度★★☆

解答

(4)

厚さの薄い鉄心材料を積層した積層鉄心は、積層した鉄心材料間で電流が流れないように

鉄心材料の表面に絶縁被膜が施されており、鉄心材料の積層方向と電流方向とが同一方向となるときに

顕著な渦電流損の低減効果が得られる

問.15 難易度★★☆

解答

(a) (2)

ピーク継続時間を\(t\)とすると、運用に最低限必要な有効貯水量\(V\)は

\(V=(Q_P-Q_N)t×3600\)

 \(=(10-6)×6×3600\)

 \(\color{red}{=86400[m^2]}\)


(b) (5)

河川から調整池に流れる水量を\(V_N\)

オフピーク中に使用する水量を\(V_O\)

ピーク中に使用する水量を\(V_P\)

上式の関係は次式の通り

\(V_N=V_O+V_P\)

\(6×24×3600=Q_O×18×3600+10×6×3600\)

\(Q_O=\frac{42}{9}[m^3/s]\)

よってオフピーク運用中の発電機出力Pは

\(P=9.8Q_OHη_tη_g\)

 \(=9.8×\frac{42}{9}×100×0.9×0.96\)

 \(\color{red}{≒4000[kW]}\)

問.16 難易度★★★

解答

(a) (2)

中性線に流れる電流を\(I_n\)とすると、

\(I_n=25-5=5[A]\)

端子電圧\(V_{AB}\)は

\(V_{AB}=105-rI_1-rI_2\)

 \(=105-0.2×25-0.2×0.2\)

 \(\color{red}{=99[V]}\)


(b) (3)

太陽光発電設備を接続したとき、外側線に流れる電流は下図の通り

端子電圧\(V_{AB}\)は

\(V_{AB}=100-0.2I_1-0.2I_n+0.2I\)

 \(=105-0.2(25-I)-0.2×5+0.2I\)

\(107=99+0.4I\)

よって出力電流\(I\)は

\(\color{red}{I=\frac{107-99}{0.4}=20[A]}\)

問.17 難易度★★☆

解答

(a) (3)

\(\%X=\frac{XI}{V}×100\)

 \(=\frac{XP}{V^2}×100\)

 \(=\frac{100×10^6×11}{(66×10^3)^2}×100\)

 \(\color{red}{≒25[\%]}\)



(b) (3)

題意のベクトル図は下図の通り

負荷電力Pは

\(P=\sqrt{3}V_rIcosθ\)・・・①

ベクトル図より

\(\sqrt{3}IXcosθ=V_ssinδ\)

 \(\sqrt{3}I=\frac{V_ssinδ}{Xcosθ}\)・・・②

①を②に代入して

\(P=\frac{V_sV_r}{X}sinθ\)

 \(=\frac{66×10^3×66×10^3}{11}sin30°\)

 \(\color{red}{=198[MW]}\)

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