【2017年】平成29年度試験 理論

問.1 難易度★☆☆

解説

電気力線に関する基本問題。静電気分野ではこういった基礎を疎かにしてはいけない。選択肢丸ごと覚えておきたい。

電気力線のルールをしっかりおさえておこう。


(1)
電気力線は、他の電気力線と反発し合う。

(2)×
図のように電気力線は、正電荷から出て負電荷へ入る。よって誤り。

(3)◯
電気力線は、途中で分岐しない。また、電気力線同士で交わらない。

(4)◯
任意の点の電気力線の密度は、その点の電界の大きさを表す。

(5)◯
電気力線の接線の向きと、その点の電界の大きさを表す。

その他の重要ルール

・電気力線は導体の表面に垂直に入る

・電気力線は、導体内部には存在しない

・点電荷から発する電気力線の本数は、\(\frac{Q}{ε}\)で表され、電荷\(Q\)に比例する

問.2 難易度★★☆

解説

まずは並列接続前のそれぞれのコンデンサの状態を整理する

【コンデンサA】

\(C_A=ε\frac{S}{d}\)

\(V_A=Ed\)

\(Q_A=C_AV_A\)

\(W_A=\frac{1}{2}C_AV_A^2\)・・・①

【コンデンサB】


\(C_B=ε\frac{2S}{d}=2C_A\)

\(V_B=Ed=V_A\)

\(Q_B=2C_AV_A=2Q_A\)

\(W_B=\frac{1}{2}2C_AV_A^2\)

 \(=C_AV_A^2\)・・・②

【コンデンサC】

\(C_A=ε\frac{S}{2d}=\frac{1}{2}C_A\)

\(V_C=E・2d=2V_A\)

\(Q_C=C_CV_C=\frac{1}{2}C_A・2V_A=Q_A\)

\(W_C=\frac{1}{2}・\frac{1}{2}C_A・(2V_A)^2\)

 \((C_AV_A)^2\)・・・③

①②③より並列接続前の静電エネルギーは
\(W=W_A+W_B+W_C=\frac{5}{2}C_AV_A^2\)・・・④

続いて、並列接続後の静電エネルギーを算出する

\(C=C_A+C_B+C_C=C_A+2C_A+\frac{1}{2}C_A=\frac{7}{2}C_A\)

接続前に蓄えられた\(Q_A,Q_B,Q_C\)より

\(W_{並}=\frac{1}{2}\frac{(Q_A+Q_B+Q_C)^2}{C}\)

 \(=\frac{1}{2}\frac{(4C_AV)^2}{\frac{7}{2}C_A}=\frac{16}{7}C_AV_A^2\)・・・⑤

④⑤より接続前後の静電エネルギーの倍率は

\(\frac{W_{並}}{W}=\frac{\frac{16}{7}C_AV_A^2}{\frac{5}{2}C_AV_A^2}\)

 \(=0.91\)

問.3 難易度★★☆

解説

アンペア右ネジの法則より、それぞれの磁束の向きは下図の通り

2つのコイルがつくる磁束A、磁束Bが逆向きになる接続方法を差動接続

和動接続の合成自己インダクタンスは

\(L=L_1+L_2+2M[H]\)で表される、表題より

\(L=L_1+L_2+2M=1.2\)・・・①

2つのコイルがつくる磁束A、磁束Bが同じ向きになる接続方法を和動接続

差動接続の合成インダクタンスは

\(L=L_1+L_2-2M[H]\)で表される、表題より

\(L=L_1+L_2-2M=2.0\)・・・②

①②より\(M=0.2\)

ここで、相互インダクタンスと、自己インダクタンスの関係は\(M=\sqrt{L_1L_2}[H]\)で表されるから

\(0.2=\sqrt{L_1L_2}\)

両辺を二乗して、

\(0.04=L_1L_2\)・・・③

①②より

\(L_1+L_2=1.6\)・・・④

③④を整理すると

\(\color{red}{L_1=0.8 L_2=0.2}\)

問.4 難易度★☆☆

解説


ヒステリシス曲線は下記の通り

(ア)
直交座標の横軸は磁界の強さ\(H[A/m]\)

(イ)
磁界の大きさを0にしても磁束密度\(B\)は0にならず磁気が残る。これを\(B_r\)残留磁気という。

(ウ)
鉄心入りコイルに交流電流を流すと、ヒステリシス曲線内の面積に比例した電気エネルギーを消費する。(ヒステリシス損)

(エ)
永久磁石材料としては、ヒステリシス曲線の\(a\)と\(b\)がともに大きい磁性体が適している。

磁心材料の適した特性

残留磁気(a) 保磁力(b)

永久磁石 残留磁気:大きい 保磁力:大きい

変圧器  残留磁気:小さい 保磁力:大きい

電磁石  残留磁気:大きい 保磁力:小さい

問.5 難易度★☆☆

解説

電流\(I\)はそれぞれ\(10Ω\)の抵抗に\(\frac{1}{2}I\)ずつ流れる。

これにより図の点A、点Bは同位差となり\(5Ω\)の抵抗に電流は流れない。

よって回路の抵抗値は

\(R=20+\frac{10×10}{10+10}\)

 \(=25[Ω]\)

よって20Ωの抵抗に流れる電流\(I\)は

\(V=RI\)

\(25=25×I\)

\(\color{red}{I=1[A]}\)

問.6 難易度★★★

解説

コンデンサには直流電流は流れないため、抵抗のみの直列回路と見なすことができる。

よって回路に流れる電流\(I\)は

\(100=(20+30)I\)

\(I=2[A]\)・・・①

①より上図\(V_1\)、\(V_2\)は

\(V_1=20×2=40[V]\)

\(V_2=30×2=60[V]\)

以上より、\(L_1,L_2,C_1,C_2\)に蓄えられるエネルギーは

\(W=\frac{1}{2}L_1I^2+\frac{1}{2}L_2I^2+\frac{1}{2}C_1V_1^2+\frac{1}{2}C_2V_2^2\)

 \(=\frac{1}{2}0.02×2^2+\frac{1}{2}0.04×2^2+\frac{1}{2}0.0004×40^2+\frac{1}{2}0.0006×60^2\)

 \(\color{red}{=1.52[J]}\)

問.7 難易度★★☆

解説

(ア)
まず、回路の合成抵抗を計算する

上図より合成抵抗\(R_1\)は

\(R_1=\frac{2×(1+1)}{2+(1+1)}=1[Ω]\)

続いて、合成抵抗\(R_2\)を求める

\(R_2=\frac{2×(1+1)}{2+(1+1)}=1[Ω]\)

よって、回路に流れる電流\(I\)は

\(12=(1+1)×I\)

\(I=6[A]\)

以上より、電流\(I\)は4[A]よりも大きい

(イ)
電子の流れる向きは電流の向きと逆向きであるから、上から下向きとなる

(ウ)
0.25sの間に電源が供給する電力量\(W_1\)は

\(W_1=VIs=12×6×0.25=18\)

0.25sの間に抵抗\(R_1\)が消費する電力量\(W_2\)は

\(W_2=RI^2s=1×6^2×0.25\)=9

よって比率は

\(\frac{W_2}{W_1}=\frac{9}{18}=\color{red}{0.5}\)

(エ)
抵抗は、消費した電力量だけの熱を発生することで温度が上昇するが、一方で周囲との温度差に比例する熱を放出する



問.8 難易度★★☆

解説

合成インピーダンスをZとおくと、回路式は

\(E=ZI\)で表される

\(100=Z・20\)

\(Z=5\)

ここで、\(R_1,R_2\)の合成抵抗を\(R\)とおくと、インピーダンス三角形は下図で表される。

図より\(Z=\sqrt{R^2+X^2}\)

\(5^2=R^2+4^2\)

\(R=3[Ω]\)・・・①

題意より、\(I_1:I_2=1:3\)であるから、抵抗\(R_1,R_2\)はその逆比となるので、\(R_1:R_2=3:1\)となる。

合成抵抗\(R\)は

\(R=\frac{R_1×R_2}{R_1+R_2}=\frac{3R_2×R_2}{3R_2+R_2}=\frac{3}{4}R_2\)

①より

\(3=\frac{3}{4}R_2\)

\(R_2=4[Ω]\)

\(R_1:R_2=3:1\)であるから

\(\color{red}{R_1=12[Ω]}\)

問.9 難易度★★★

解説

出題例が少ない問題。解き方だけ理解しておきたい。

ひずみ波交流電流
\(i=6\sinωt+2\sin3ωt[A]\)を

\(i_1=6\sinωt\)

\(i_2=2\sin3ωt\)

に分けて考える。

交流回路の電力を求める場合、交流の実行値を用いて計算する必要があるので、それぞれの交流電流\(i_1,i_2\)の実行値を求める。

\(I_1=\frac{6}{\sqrt{2}}\)・・・①

\(I_2=\frac{2}{\sqrt{2}}\)・・・②

①②より抵抗\(R=5\)で消費される平均電力\(P\)は

\(P=RI_1^2+RI_2^2\)

\(P=5×\frac{36}{2}+5×\frac{4}{2}\)

\(P=90+10\)

\(\color{red}{P=100[W]}\)

問.10 難易度★☆☆

解説

コイルの特性を理解していれば簡単な問題。

(ア)

スイッチSを閉じた瞬間は、コイルで逆起電力が発生し、コイル側で電流は流れない

よって回路は、\(R_1とR_2\)の直列回路と見なすことができるから

\(E=(R_1+R_2)I\)

\(\color{red}{I=\frac{E}{R_1+R_3}}\)

(イ)

スイッチSを閉じて定常状態となった後は、コイルのインダクタンスは0となるので、

回路は\(R_1\)のみの回路と見なすことができる

\(E=R_1I\)

\(\color{red}{I=\frac{E}{R}}\)

問.11 難易度★★☆

解説

半導体のpn接合の性質によって生じる正しい選択肢は(2)整流作用、太陽電池、発光ダイオード

【整流作用】

順電圧をかけると電流が流れ、逆方向にはほとんど電流を流さない整流作用がある

【太陽電池】

pn接合に光を照射させると、電圧が生じる(光起電力効果)

これを利用したのが太陽電池

【発光ダイオード】

pn接合に順電圧をかけ、自由電子と正孔が再結合したときに光が発生する。

問.12 難易度★★☆

解説

紫外線ランプの構造は下図の通り

出典:岩崎電気

(ア)紫外線ランプは両端に設けられた電極からなり、

(イ)ガラス管内には数百Paの希ガスおよび少量の水銀が封入されている。

(ウ)両極間に高電圧を印加すると陰極から出た電子が電界で加速され、陰極原子に衝突してイオン化する。

(エ)蛍光ランプはガラス管の内側の面にある種の物質を塗り、

(オ)紫外線を可視光に変換するようにしたものである。

問.13 難易度★★★

解説

題意より、\(V_{BE}=0\)なので、\(V_{CC}=R_B×I_B\)で表される。

ここで、図2より\(I_C=0のときV_{CE}=9\)であるから、

\(V_{CE}=V_{CC}=9\)

よって

\(R_B=\frac{V_{CC}}{I_B}\)

 \(=\frac{9}{6×10^{-6}}=\color{red}{1.5[MΩ]}\) 

問.14 難易度★★★

解説

(1)×
有効数字は演算式の中の、桁数が少ないものに合わせる。

よって正しい解は\(2.7V\)

(2)×
(1)と同様。

よって正しい解は\(0.56\)

(3)×
計算間違い。正しい解は\(5.5×10^{-6}C\)

(4)×
単位誤り。\(0.12A-0.01A=0.11A\)

(5)

問.15 難易度★★☆

解説

(1)
ブリッジの平衡条件が成立すると、計測点で電位差が0になる。

ブリッジ平衡条件より

\(R_2R_3=\frac{\frac{R_1}{jωC_1}}{R_1+\frac{1}{jωC_1}}・\dot{Z}\)

 \(\color{red}{=\frac{R_1}{1+jωC_1R_1}・\dot{Z}}\)・・・①

(2)
\(\dot{Z}=R+jX\)なので、①より

\(R_2R_3=\frac{R_1}{{1+jωC_1R_1}・(R+jX)\)

上式を\(RとjX\)の式に整理する

\(R_2R_3+jωC_1R_1R_2R_3=R_1R+R_1jX\)

\(R+jX=\frac{R_2R_3}{R_1}+jωC_1R_2R_3\)

以上、ブリッジ平衡条件より、

\(R=\frac{R_2R_3}{R_1}\)

\(X=ωC_1R_2R_3\)

左辺は全て正の数であるから

\(\color{red}{R>0,X>0}\)

問.16 難易度★★☆

解説

(a)

題意より誘導性リアクタンス\(X\)は

\(X=ωL=2πfL=2×3.14×50×0.005\)

 \(=1.57[Ω]\)

ここで一相分の回路は下図の通り。

インピーダンス\(Z\)は

\(Z=\sqrt{5^2+1.57^2}\)

 \(=5.24[Ω]\)

回路に流れる電流\(I\)は

\(I=\frac{\frac{200}{\sqrt{3}}}{5.24}=22.03[I]\)

以上より三相分の有効電力は

\(P=RI^2×3\)

 \(=5×22.03^2×3\)

 \(\color{red}{=7.28×10^4}\)

ここでインピーダンス三角形は下図の通り

\(\color{red}{\cosφ\frac{R}{Z}=\cosφ\frac{5}{5.24}=0.95}\)

(b)
コンデンサ側をΔ→Y変換すると回路と、容量性リアクタンスは以下の通り。

ここで、一相分の回路は下図の通り。

このとき、合成アドミタンス\(\dot{Y}\)は

\(\dot{Y}=\frac{1}{R_{合成}}=\frac{1}{R_{RL}+\frac{1}{R_C}\)

 \(=\frac{1}{R+jωL}+jω3C\)

 \(=\frac{R-jωL}{R^2+ω^2L^2}+jω3C\)

 \(=\frac{R}{R^2+ω^2L^2}-\frac{jωL}{R^2+ω^2L^2}+jω3C\)

 \(=\frac{R}{R^2+ω^2L^2}+jω\{3C-\frac{L}{R^2+ω^2L^2}\}\)

題意より、力率1のときは、抵抗のみの回路と見なせる場合なので、その時の静電容量\(C\)は

\(\color{red}{C=\frac{L}{3(R^2+ω^2L^2)}}\)

問.17 難易度★★★

解説

(a)
磁気回路は以下の通り

磁気回路におけるオームの式より

\(NI=Rφ\)・・・①

ここで、合成抵抗\(R\)は

\(R=R_1+R_2+2R_0\)

 \(=\frac{l_1}{μ_{r1}μ_0A}+\frac{l_2}{μ_{r2}μ_0A}+2\frac{δ}{μ_0A}\)・・・②

②を①に代入して

\(φ=\frac{NI}{\frac{1}{μ_{0A}}(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ}\)

 \(=\frac{μ_0ANI}{\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ}\)

以上より、鉄心1の磁界の強さは

\(H_1=\frac{B}{μ_{r1}μ_0}=\frac{φ}{μ_{r1}μ_0A}\)

 \(=\frac{NI}{μ_{r1}(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ)}\)

同様に、鉄心2の磁界の強さは

\(H_2=\frac{NI}{μ_{r2}(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ)}\)

空隙の磁界の強さは

\(H_0=\frac{NI}{(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ)}\)・・・③

ここで

\(\frac{H_1}{H_0}=\frac{1}{μ_{r1}}=\frac{1}{2000}=5×10^{-4}\)

\(\frac{H_2}{H_0}=\frac{1}{μ_{r1}}=\frac{1}{1000}=1×10^{-3}\)

以上より、上式を表すのは(2)

(b)
③より

\(H_0=\frac{NI}{(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ)}≧2×10^4\) が成り立つ

\(N≧2×10^4(\frac{l_1}{μ_{r1}}+\frac{l_2}{μ_{r2}}+2δ)\)

 \(=2(1+20+0.98)\)

 \(=\color{red}{44}\)

問.18 難易度★★★

解説

(a)
題意より、回路図は下記の通り

回路に流れる電流\(i\)は

\(V_i=Ri\)

\(i=\frac{V_i}{R}\)・・・①

ここで、\(αRに流れる電流iは電位差より\)

\((3V_i-V_i)=αRi\)

①より

\(2V_i=αV_i\)

\(\color{red}{α=2}\)

(b)

上図より、入力電圧\(v_i\)は

\(v_i=\frac{\dot{Z_2}}{\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}v_0\)

帰還電圧を\(v_f\)とすると、帰還率\(β\)は、

\(β=\frac{v_f}{v_0}=\frac{\dot{Z_2}}{\dot{Z_1}+\dot{Z_2}}\)

 \(=\frac{\frac{R}{1+jωCR}}{(R+\frac{1}{jωC})+(\frac{R}{1+jωCR})}\)

 \(=\frac{R}{3R+j(ωCR^2-\frac{1}{ωC})}\)

 \(=\frac{1}{3+j(ωCR-\frac{1}{ωCR})}\)・・・①

増幅度\(A=\frac{v_0}{v_i}\)は実数であるから位相角は0

このとき発振の条件は、\(帰還率β\)の位相角が0であるから、

①の虚数部を0とおくと

\(ωCR-\frac{1}{ωCR}=0\)

\((ωCR)^2=1\)

\(2πfCR=1\)

よって発振周波数\(f\)は

\(f=\frac{1}{2πCR}\)

 \(=\frac{1}{2×3.14×0.1×10^{-6}×5×10^3}\)

 \(\color{red}{=0.3[kHz]}\)

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